
「自給自足の極みといえば、やっぱり米作りだよね~」
食の安全や自給率に関心を持ち始めていた数年前。旅行先で見たきれいな田園風景をきっかけに、そんな会話を友人と交わしていました。「いつかお米も作ってみたいけれど、まずは家庭菜園からかな」なんて、当時の私は知識もコネもなく、とりあえず希望を口にしていました。
その後、家庭菜園は始めたものの、お米のことはすっかり頭から抜けていました。
そんなある日、知人に勧められて『君の根は。大地再生にいどむ人びと』というドキュメンタリー映画を見に行きました。(これはこれですごくよかったです!)
その上映会で知りあった方々とつながりができ、そのつながりから、「米作りに参加してみませんか?」とある日突然、声をかけていただいたのです。もちろん断る理由はなく、二つ返事で参加させてもらうことになりました。
「ライトな参加」でも分かった、米作りの大変さ
私が参加しているチームはとても恵まれていて、プロの方が機械の貸出から栽培方法まで教えてくださっています。苗や資材も用意していただき、作業も「来られるメンバーで行う」という気楽なスタイルです。
しかし、そんな恵まれた環境であっても、参加するたびに「米作りって本当に大変だな」と感じます。実際にやってみて分かったのは、米作りには土木作業のような要素が多いということです。
- 水はけが悪ければ土を掘って排水路を作る
- モグラに穴を開けられた畔(あぜ)の補修や水管理
- イノシシなどの害獣被害があった場所の片付けや補修
- 夏場に何度も必要になる畔まわりの草刈り
さらに、機械代の高さや燃料費・資材費の高騰など、経費もしっかりかかる現実を知りました。昔からお米作りがチームで集まって行われていた理由が、実感を伴ってよく分かります。
いよいよ一ヶ月後は稲刈り!
早いもので、これから一ヶ月後にはいよいよ稲刈りを迎えます。
この時期は、稲刈りに向けて「落水(おとしみず)」という作業を行います。田んぼの水を抜いて土をしっかり乾かし、収穫のときに大型のコンバインが入ってもぬかるんで沈まない足場を作っていく大切な工程です。
一般的には「稲刈りの10日前くらい」に落水することが多いようですが、私たちの田んぼではベテラン農家さんの判断のもと、すでに1ヶ月ほど前から水を抜いています。土地の性質や「今年は雨が多い」という天候の傾向を長年の経験から察しての判断のようです。教科書通りにはいかない、現場の知恵や判断の奥深さを知る機会にもなりました。
ただ、秋口に入ってからも雨が多い日が続いているので、10月以降の天気が少し心配なところ。 というのも、稲刈りは晴れた日でないと作業ができません。さらに、収穫した後の「籾(もみ)」はその日のうちに乾燥させる必要があるため、私たちは収穫後すぐにライスセンターへ持ち込んでいます。
ライスセンターで乾燥・袋詰めをしてもらったら、今度は保管場所の問題があるため、すぐに引き取りに行かなければなりません。稲刈りの時期は天気を見定めつつ、収穫から引き取りまでスピーディな対応が求められるので、実は年間を通してもかなり慌ただしく大変な時期でもあります。
やってみて感じた、米作りならではの醍醐味
いろいろと大変な面やこれからの忙しさを書きましたが、チームで作業しているため、辛さよりも楽しさの方が勝っています。専業農家さんのようなプレッシャーがない分、みんなでワイワイ作業できるのも良いところです。
そして、米作りにはやっぱり大きな醍醐味があります。
ひとつは、田んぼでトラクターを運転する時間です。車で道路を走るときとはまた違った、独特の高揚感があります。
そしてもうひとつは、なんといっても新米の美味しさです! スーパーのお米には申し訳ないのですが、やっぱり味が全然違います。自分たちで手をかけたからこその特別な味わいです。
収穫までのラストスパート、天候に悩まされそうな慌ただしさも含めて、今から新米の味が待ち遠しくてたまりません。一見ハードルが高く見える米作りですが、縁があって飛び込んでみると、想像以上に面白く貴重な体験になっています。