
普段からハーブを育て、ポプリやボタニカルクラフトを作っている私にとって、「香り」は生活に欠かせない大切なテーマです。
今回の東京訪問の大きな目的は、香り好きなら一度は訪れたい2つの名店「MAD ET LEN(マドエレン)」と「サンタ・マリア・ノヴェッラ」を巡ること。関西にも店舗はありますが、今回はどうしても東京・銀座や蔵前の「お店の空気感」をじかに味わってみたくて、足を運んできました。
ハーブ愛好家目線の取材日記として、その魅力をお届けします!
1. 職人の街に潜む、重厚な香りの世界「MAD ET LEN(蔵前)」
まずは、地下鉄蔵前駅から徒歩10分ほど、静かな路地裏に佇む「MAD ET LEN」の直営店へ。
蔵前は「東京のブルックリン」とも呼ばれ、古い歴史と新しいカルチャーが心地よく融合する街です。どこか京都に通じるような落ち着いた趣もあり、大人の散策にぴったり。

そんな街並みに突如現れる重厚な黒の門構えは、まるでヨーロッパの街角に迷い込んだかのよう。少し緊張しながら扉を開けると、素晴らしい香りと共にスタッフの方が温かく出迎えてくれました。(店内は写真撮影OKとのこと!)
職人技と自然の恵みが詰まったポプリ

MAD ET LENのポプリは、一般的にイメージするドライフラワーとは一線を画します。職人さんが手作業で仕上げた無骨で美しい鉄の容器の中に、南フランスの工房近くで採取された樹脂や岩石が入っており、そこに世界中から集められた天然100%のオイルが染み込まされているのです。

いくつかの香りをムエットで試させていただいた中で、特に心を掴まれたのが「SPIRITUELLE(スピリチュエル)」でした。
・ 香りの構成: ミント、シトラス、ヨモギなど
・ 印象: トップに爽やかなミントが立ち上がり、続いてオレンジのようなみずみずしいシトラスへ。そこから複雑で奥深い香りへと変化し、最後に再び心地よいミントへと戻っていく……。
ツンとした角がなく、爽やかさと華やかさが絶妙に調和したマイルドな香り。「ミントとシトラスを組み合わせると、こんなにも素晴らしいハーモニーが生まれるのか」と、自分のハーブクラフトへの大きなヒントになりました。
なぜ「表参道」ではなく「蔵前」なのか?
スタッフの方との会話で特に印象的だったのが、この地に店を構えた理由です。
本店がある南フランスは、豊かな自然に囲まれ、職人たちと共にブランドを作り上げている場所だそう。そのため、日本に進出する際も表参道や銀座といった華やかな繁華街ではなく、「職人の呼吸が感じられる街」を探し求め、この蔵前の地に辿り着いたのだそうです。
「わざわざ探して来てくれる人に届けばいい」というブランドの美学。私もまさにその一人として、すっかり魅了されてしまいました。
参考:MAD ET LEN :マドエレン日本公式オンラインストア
2. 800年の歴史を纏う「サンタ・マリア・ノヴェッラ(銀座)」
続いて訪れたのは、銀座の裏通りにある「サンタ・マリア・ノヴェッラ」。
イタリア・フィレンツェの修道院薬局を起源に持ち、800年近い歴史を誇る世界的ブランドです。天然原料にこだわったオーデコロンやスキンケア、伝統的な調香品は世界中にファンを持ちます。
クラシカルでヨーロッパの気品あふれる店内に足を踏み入れると、一瞬で日常を忘れさせてくれます。今回の目的は、伝統のポプリと人気の「タボレッタ(ワックスバー)」を実際に確かめることでした。

伝統のポプリと、可憐なタボレッタ
スタッフの方に案内していただき、それぞれの魅力をじっくり体感しました。
- ポプリボックス: トスカーナの野草や花々を密封し、数ヶ月間じっくり熟成させて作られる伝統品。少しスパイシーでスモーキーな、深みのある薬草のような香りが特徴的です。
- タボレッタ(ワックスバー): ブランドを代表する板状のハードワックス。天然ワックスの中にバラのつぼみや果実が手作業で埋め込まれていて、とにかく見た目が可憐!クローゼットに掛けたりドアノブに吊るしたりと、インテリアとしても楽しめます。
どれも魅力的で散々迷った末、今回は「タボレッタ アクア デッラ レジーナ」を購入しました。
「アクア デッラ レジーナ」の香り

1533年、メディチ家のカテリーナ姫のために作られた歴史あるレシピ。シトラス、プチグレン、ネロリ、ムスクが心地よく香り立ち、仕上げにラベンダーのつぼみとオレンジピールがあしらわれています。
その香りは、ぱっと世界が明るくなるような華やかさ!上質な石鹸を思わせるみずみずしい清潔感があり、一瞬で多幸感に包まれます。この「シトラス×ハーブ×ムスク」の絶妙な調和も、いつか自分なりのハーブクラフトで再現にチャレンジしてみたいと思います!
参考:【公式】サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella)
取材を終えて:「価値」と「値段」についての気づき
今回の東京・香り巡りは、ハーブ好き・香り好きとして最高のインスピレーションを得られる大満足の旅となりました。
正直なところ、どちらのお店も決して「安くはない」お値段です。しかし、実際に現地を訪れ、その背景にあるストーリーや職人のこだわり、空間全体で表現される世界観に触れる中で、「価格=価値」とは何かを深く考させられました。
単なる材料費やコストだけでなく、
- ブランドが積み重ねてきた歴史と物語
- そこでしか出会えない唯一無二の香り
- 「どうしてもこれが欲しい」と思わせる世界観と商品力
それらすべてが組み合わさって「価値」になるのだと、身をもって体感できた気がします。
どちらのお店も、必ずまた訪れたいと思える素晴らしい場所でした。今回得た香りのヒントをもとに、自宅でのハーブクラフト作りにもまた力が入りそうです!
In conclusion
今回の旅や過去の記事を読み返していて感じたのは、「これからは本当の意味での“本物”や“価値”が選ばれていく時代なのかもしれない」ということでした。
以前、『豊かさってなに?バグってる最近の貨幣経済』という記事でも、「自分の手で作る豊かさ」や「価格と価値の違い」について書きましたが、今回の香り巡りはまさにその答え合わせのような時間でもありました。
お金や数字のバグに惑わされることなく、本当に価値のあるもの、自分の心が豊かになるものを選んで生きていきたいと改めて思いました。
気になった方は、前回の記事もぜひ併せて読んでみてくださいね!
アーティスト・作家|歴史や世界の深淵を読み解き、新しい生き方の景色へと翻訳することを私のライフワークとしています。|Please see the detailed profile here.