
去年の夏の贈り物
2025年の春、YouTubeで見かけた「ホーリーバジル」にすっかり心を惹かれました。 もともとハーブティーが好きだったこともあり、「自分で育てたホーリーバジルでお茶を飲んでみたい!」とその年の初夏に畑での栽培をスタート(4株)。隣にはシナモンバジルと紫バジルもそれぞれ2株ずつ植えて、夏の間はその香りに包まれるのが日課になりました。
収穫中も素晴らしい香りで、一気にお気に入りのハーブに。 シーズンが終わってからも、株からは良い香りが漂ってきます。根ごと抜き取って乾燥させ、出番を待つように大切に保管しておきました。

そして、そのバジルを使って、手に入れたばかりの麻布を染めてみることにしました。
ホーリーバジル × 麻

ホーリーバジルは、別名「トゥルシー」と呼ばれています。 インドでは「一家に一鉢」と言われるほど暮らしに根付いた聖なるハーブで、古くから場を清め、持つ人のエネルギーを整える存在として大切にされてきたそうです。
この植物が持つ「整える力」を、物理的な色彩として身近なものに写し取ってみたい。そう思って選んだのが「麻」でした。
麻もまた、日本で古来から神事や儀式に使われ、「穢れを祓う」神聖な歴史を持つ植物です。麻の繊維は内側が空洞(中空構造)になっているのですが、この構造がバジルの成分やエネルギーをぎゅっと抱きしめて、蓄えてくれるような気がしたのです。
染色プロセス:麻に色をのせる
草木染めは、Webで調べながらのチャレンジです!
- 下準備:染まりやすくするため、豆乳に浸してタンパク処理をします。
- 煮出し:乾燥させたホーリーバジル(木質化した枝)+紫バジル(葉)を煮て、色素をじっくり抽出した液を事前に準備。そこに下準備した布を浸し、弱火でじっくりと煮て、繊維に色を写し取っていきます。※20分ほど煮た後、水洗い。
- 媒染(ばいせん):色が定着するようにミョウバン液を通します。
- 重ね染め:「染色」と「媒染」を5回繰り返しました。
手間はかかりますが、何度も繰り返すうちに布に力が宿っていくような、楽しい時間でした。
染め上がりの表情
1回目は薄いグレーのような色でしたが、回を重ねるごとにグレーの層が厚くなり、その奥にうっすらと紫の影が宿るような、言葉にするのが難しいニュアンスカラーに育ちました。少しの色むらも、自然の表情として愛着がわきます。
ポプリの香を宿すポーチへ
染め上がった深みのあるグレーを引き立たせるため、白のちぢみ布を合わせました。静かなグレーと凛とした白。このコントラストが、どこか高貴な空気を連れてきてくれた気がします。
さらにこだわったのが裏地です。以前購入しておいた着物のハギレから、3種類の絹地を布合わせして、1枚の裏地に仕立てました。絹特有の光沢が、ポーチを開けるたびに贅沢な気持ちにさせてくれます。
そして、どうしても作りたかったのが「ポプリを忍ばせるポケット」です。 裏地に小さなポケットを付け、先日作ったばかりのポプリをそっと忍ばせてみました。

結び:周波数が共鳴するポーチ
完成してから少し時間を置いてポーチを開けると、ふわっと優しいポプリの香りが広がります。
ホーリーバジルで染めた「色」と、中に忍ばせた「香り」。 同じ植物から生まれたもの同士が、ポーチという形の中で共鳴し合っているようです。
手に取るたびに、去年の夏の畑の風景や植物のエネルギーを感じられる、お守りのようなポーチになりました。
アーティスト・作家|歴史や世界の深淵を読み解き、新しい生き方の景色へと翻訳することを私のライフワーク(しごと)としています。|詳細のプロフィールはこちら